今、ここ、この瞬間でしか出会えない!と思うと欲しくなるのが心理ですよね。以前の職場で、先見の明がある社長のアイディアに「なるほど~」と思う事がありました。
難しい事ではなく、ちょっとした工夫です。
相手も自分もメリットがある「付加価値」でした。
目次
お互いメリットになる「付加価値」で顧客を増やす
付加価値とは
- 生産によって新たに加えられた価値。総生産額から原材料費・燃料費・減価償却費などを差し引いた額。減価償却費を差し引かない付加価値を粗付加価値、減価償却費を差し引く付加価値を純付加価値という。
- 通俗的には「特定の人・場所・施設や何かの商品・サービスなどに付け加えられた独自の価値」という意味で用いられることがある。by wikipedia
今回取り上げる「付加価値」とは上の説明の2番め。
「特定の人・場所・施設や何かの商品・サービスなどに付け加えられた独自の価値」です。
例えば・・・今流行している「布マスク」。ユニクロがエアリズム素材でマスクを商品化して、販売前から大注目。爆発的に売れましたね。
布マスクに、ユニクロというブランド=安心、エアリズム=肌への良さが加わりました。
単に「布マスク」として販売するよりも、「ユニクロブランド」が「エアリズム」という定評のある布で作った事で、布マスクに「付加価値」が生まれたわけです。
それが、期間や数量に限りがある「限定」だと、更に目を引くことになりますね。もうちょっと分かりやすい例を1つあげてみましょう。
身近にある!付加価値の例
例えば、喫茶店でケーキのメニューに写真が並んでいたとします。沢山の種類のケーキ写真がある中、苺タルトだけ文字が追加されていたらどうでしょう。
以下、どちらが目を引きますか?
メニューを見る前までは、大好きなシフォンケーキがいいな!と思っていたかもしれない。でも、こんな風に表示してあると、ちょっと迷いませんか?
「店長おすすめ」と「あまおう苺のタルト 限定20個」を追加しただけなのに、苺タルトがじわじわと気になってくる。
こうなると私の場合は・・・
となります。
最初はシフォンケーキを食べたかったのに、その気持ちが吹き飛んでしまう。
もしも、この限定20個というのが今日だけじゃなくて、毎日だと知っていたらシフォンケーキを選ぶはずです。
今、ここ、この瞬間でしか出会えない!という価値を感じると手が出てしまうという身近な例でした。
では、社長のアイディアを紹介します。
お釣り待ちの隙間時間を有効活用
枝草を処理したり、庭木を販売したりする「造園会社」で働いていた時の経験より。
窓口で、お客さんから代金を頂いてお釣りをお返しする間、数秒お待たせします。その間、お客さんは周囲の貼り紙や、受付の小物などを眺めてちょっとした時間を潰して待っているんですよね。
よく、スーパーのレジで待っている間に、さりげなく積んであるガムや電池などの消耗品を見てしまうような感じです。
そこに目をつけた社長が、近所の農家から朝採れ野菜を仕入れ、2~3個の小分け袋に入れて販売していました。釣り銭と一緒に片手でさっと持って帰れるサイズです。
イメージアップを兼ねた野菜販売
これがですね・・・ただの野菜ではないのです。
実は「お客さんが持ち込んだ枝草を処理した堆肥」で育てた野菜。
つまり、あなたの持ってきてくれた枝草がこんなに美味しい野菜になったよ!というアピールになり、会社のクリーンなイメージアップにも繋がるわけです。しかも、売れればちゃんと利益が出るという良い事づくめなお野菜。
お客さんは造園関係の方ばかりなので、野菜や植物に興味があるというのも良い点。これが例えば、スイーツや雑貨を置いてもさほど売れないでしょう。
このお野菜は本当に美味しい!従業員ほぼ全員が自分の分をキープするので、お客さんの分が無くなってしまう勢いです。
商品に価値をつける
そんな美味しい野菜なんですが、天候やタイミングで売れ行きが変わることもあります。
お天気でカラッと晴れた日ならお客さんの気分もウキウキしますが、雨の中をカッパを着ていて、泥だらけになった手では野菜を買う気分にならない。
雨の日、売れていない野菜を見て社長がこう言いました。
「本日朝採れ・限定~個と赤字で書いて」と。
付加価値を付けたのです。
書いた事は嘘ではありません。朝に収穫した人気野菜を、個数限定で仕入れているのですから。先ほどのケーキの例と似ていますよね。
雨でも強風でも、飛ぶように売れました。
まとめ買いする方もいらっしゃって綺麗に在庫がなくなりました。経営ってそういうもんなんだなとつくづく関心。
私なら「この天気じゃやっぱり売れないよね」で終わったかと思います。 私は経営者向きじゃないなぁと実感したのでした。
お客さんを喜ばせる事で得る「利益以上のメリット」
この窓口でのアイディアは、利益以上のメリットがあると感じる事がありました。
以下の3つです。
- お客さんの状態を知って「共感」を得る
- お客さんが「今」望むことを「手短に叶える」
- お客さんに繋がる人も喜ばせて「イメージアップ」へ
お客さんは造園屋さんばかり。仕事を終えて立ち寄る事が多いです。例えば、庭の庭の剪定をして、私の会社に寄ってから帰るパターン。
汗をかいて、火照った身体で来るわけです。そこに、冷えたトマトや麦茶などがあったら最高ですね。片手でトマトをかじりながら帰っていくお客さんの顔ったらもう。本当に嬉しそうでした。
「社長~!分かってるなぁ~」と笑って帰っていく。
でも、ドライバーさんによっては常温のまま持ち帰りたい人もいます。社長の指示で、冷えたトマトと常温のトマトの両方を用意していました。
それ以外にも色々なサービスをしていました。雨のときは、濡れた軍手などを持って帰れる袋を用意、いつも飴を置いておくなどです。
どれも、今してほしい事を「手短に叶える」。押し付けない。
これが何か用紙に書いて~とか、QRコードを読み取って~なんてしてたら、イライラしてしまいます。仕事を終えて疲れているのですから。
イメージアップ!人脈と口コミを広げる
どうやら社長は、野菜の利益が目的では無いようでした。お客さんを喜ばせて帰すことにこだわっていたのです。
あるお客さんは「社長っ、この前の野菜甘くてうまかった。カミサンに頼まれたからさ、帰りにまた寄らせてもらうよ」などの声もありました。
喜んで帰ってもらう事でイメージアップになり、良い口コミも広がるのです。この会社はみるみる成長しました。
まとめ
今回は私の経験から、窓口でのちょっとした「付加価値」アイディアを紹介しました。社長が心がけたのは以下3つ。
- お客さんの状態を知って「共感」を得る
- お客さんが「今」望むことを「手短に叶える」
- お客さんに繋がる人も喜ばせて「イメージアップ」へ
お客さんの心理を掴むことで、お客さんは満足するし、売り手側も利益が出る。信頼やプラスイメージにも繋がるのだなと実感しました。
「真実」を、押しつけがましくない程度に付け加える。
伸び悩んでいる商品、売り手と買い手のタイミングが合わない商品があったら、お互いがメリットになる「付加価値」を考えてみるのも良いですね。
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